コートの合皮剥がれ クリーニング
2019年02月12日
コートの合皮剥がれ クリーニング
一度剥がれた合皮の修復は不可能です。合皮は石油製品ですのでいつかは劣化します。
衣類のデザインでは、アクセントとして、合皮が部分的に使用されているケースが多いですね。
革よりも縫いやすくて、安くて、デザイン性も豊富な特徴を持つ合皮です。
しかし、劣化する時期が必ず来ますので、剥がれかけてしまうと合皮や接着剤の劣化はドンドン進みます。
合皮を指で擦ってみて、ボロボロとなる状態でしたら、当店ではお客様に了承を得て、剥がしてからドライクリーニングをします。
他店では断られることが多い、部分的な合皮の劣化も部分的なデザインでしたら、剥がせばまだまだ使える可能性があります。
※(全体に合皮が使われているケースでは、劣化する衣類は洗えません。コートなどに多いポリウレタンコーティングの場合は、復元不可能です。
部分的にボロボロになっていると目立つので、ポリウレタンは水に弱いので、水洗いや漂白をして全体にコーティングを取り除いたり、粘着テープで剥がせる部分を剥がすしかなく、決して元には戻りません。)
Before コートの部分的にアクセントとして使われている合成皮革が剥がれかけています。
このままでは、ドライクリーニングが出来ませんので、粘着テープで剥がします。
ある程度剥がれてきたら、粘着テープに合皮が貼りついてとれなくなるまで、
何度も何度も手作業で剥がしていきます。
合皮が完全に粘着テープに付かなくなり、爪や手で擦っても合皮が取れなくなるまで作業します。
まだ、接着剤が残っているかもしれないので、しみ抜きガンや薬剤を使用して綺麗に取り除きます。
合皮を綺麗に剥がすことで、やっとドライクリーニング出来るようになります。
料金は、剥がす範囲や合皮が剥がれやすいかなどにより、300円~2,000円くらいでしょうか。
簡単に取れる場合は、料金をいただかないケースもありますので、状態により様々だと思います。
捨てるには惜しい衣類には、この剥がす方法でクリーニングをご依頼いただくことが多いですよ。
合皮の構造
剥がした部分は布(織物)が現れます。
布に色を塗って合皮らしく戻すことも可能ですが、修理は1,000円~5,000円と決して安くはないです。
そのため、「合皮を剥がすのみ」というケースが多いです。
革での張替え
部分的なデザインでしたら、革で綺麗に布の上から被せて縫う方法もあります。
革で直す場合は予算が合えばということになります。
革で直すのは、料金が高額になります。
革の入手が現物合わせになるため時間がかかること、取り付け、ミシン全てが特殊な工業用ミシンでしか出来ないこと、慎重に縫うために時間がかかる修理であること。(ミシン針で革に穴が開いてしまうと表には出せないためやり直しになるため)
などが、高額な修理になる理由です。
裏地が取れないダウン衣料などは、裏地に縫い目が出たり、まったく同じようには直せないケースがあるので、お客様のご理解が必要な修理です。
修理には革の仕入れや剥がして縫う作業までの時間がかかりますので、お気に入りで、どうしても直したいという場合のみ修理を考えてみるのもいいですね。
革は手入れをすれば一生ものになりますので、大切な品物でしたらお金をかけても・・。という場合のみでしょうか。
合皮の塗りなおし
合皮の構造で塗りなおしを書きましたが、出来る商品は限定されます。
基布に直接塗る合皮に似た感じが出る塗料もございますが、生地に塗料が浸透するので、塗料を塗るとどうしても硬くなります。
帽子や鞄、靴のかかとや先端、ダッフルコートのトグルパッチなど、動かない場所には塗料を厚塗りして似た感じに戻ることがありますが、衣類には硬くなるために向きません。
お問い合わせの多い修理ですが、衣類にはほぼ使用することが出来ないため、どうぞご理解をお願いいたします。
100円ショップで、ダッフルコートのトグル用パッチが売っているくらいですから、消費者の関心が強い劣化修復ですね。
合皮のクリーニング
今回は、問い合わせの多い合皮のクリーニングについてお知らせです。
(まだ劣化していない、ボンディング加工、ポリウレタンコーティング、合皮の衣類は、問題なくドライクリーニングが出来ます。)
当店では、最近多い、ダウンのシームレス加工(縫い目が無く、熱接着のダウンウエア)もウエットクリーニングで問題なく洗えますよ。
機密性が高くて暖かいダウンウエアですから、ひっくり返して洗うしかありませんが、しっかりと前処理をして汚れを落としますので、綺麗になりますよ。
汚れやすいダウンウエアに、なぜ、ほぼウエットクリーニングやドライクリーニングのみと書いているのかは不思議ですが、当店ではなるべく汚れが落ちるように、ダウン専用洗剤や酵素、汚れが酷い場合には漂白などを駆使して汚れに合わせて洗っておりますので、ウエットクリーニングでも綺麗にしますので、ご安心くださいませ。
合皮の衣類は気兼ねなく
合皮や石油製品は、劣化する前に使えるうちに気兼ねなく、着用していただくことが、大切ですね。
ほとんど着ていないのに、劣化してしまった・・・というケースは多く、もったいないですから。
日本は、湿気が多いので合皮やポリウレタンが加水分解しやすく、寿命も短いですから、思う存分使っていただきたいです。
マルエイクリーニング
前田俊雄