着物のしみ抜きについて
2017年08月08日
しみ抜きについて
クリーニング店・着物丸洗い店は、不入(いらず)流、京洗会、みけし流など多くの勉強会を開催し、クリーニング技術者などに技術を伝授している流派があります。
しみ抜きは、お客様が望むからと言ってやり過ぎると、絹は色が抜けやすいために、色を抜いてしまったり色移りをしたり、色補正をすることがあります。
しみ抜き料金は、しみ抜き範囲や難易度が高いほど高額になることがあります。
どの流派にも、どこまでやるかなどの限界について特徴があります。(色が抜けるギリギリまで、色を抜いて色補正など、様々な限界のことです。)
しみ抜きのお見積りについて
当店ではお客様の要望や予算、シミの特徴に合わせて、どの辺りが無難なのかをお聞きします。
しみが取れるのか取れないかなども含め、やってみないと分からないことなども多くございますので、お客様とのご相談の上、作業をさせていただきます。
技術は進化しますので、当店も時間が合えば、いろいろな流派のしみ抜きの講習会などにも出席して、新しい情報や薬品についても勉強をしております。
新しい難題に直面すると、「何とか解決出来ないか」といろいろ探ることで新しい技術を身に付けるきっかけにもなります。
苦労して考えて見つけた答えは、忘れることはありませんし、同じような事例を解決出来るようになるので、いろいろな事例や解決方法を模索し、実践することを日々挑戦し続けてております。
丸洗い後のしみ抜き
前処理と丸洗いで取れなかった汚れやしみは、しみ抜き作業で取り除くことになります。
後処理という工程となります。
そこで簡単に取れるしみは無料ですが、前処理をして取れないしみですから、簡単に取れないしみが多くなります。
しみ抜きで落とせる基準は、おおよそ半年くらいまでの酸化したしみであれば取れることが多いですが、それを超えて絹の繊維自体が酸化して変色してしまった場合は、無理をすると色が抜けてしいます。
また、しみが濃いオレンジ色や黒色に変色していたら、さらに古いしみだと思いますので、色の退色や変化の程度によってもおおよそ取れにくいという判断が出来ます。
しみを抜いて、色が抜けてしまっている場合もございますので、その場合は色補正をおすすめしております。
特に襟の古いしみなどが目立つので、色補正のご依頼が多いです。
擦って色が抜けた
しみが付いて、水が付いたハンカチなどで擦る方がいらっしゃいますが、絹には絶対向かない方法です。
水を含んだ絹の繊維は膨張して弱くなっています。
そこに摩擦を加えると表面が荒れて毛羽立ちます。
繊維の中に入りこんで安定していた染料が外に出やすい状態になります。
擦れて、色が抜けて、光沢がなくなり、白っぽくなってしまいます。
シルクガンでのしみ抜きは、擦らずに細かい粒子でシミを追い出す方法です。
浸透してしまったしみについては、道具を持っているプロにお願いするのが得策だと思います。
お手入れについて
襟のファンデーションの汚れだけを取って欲しい。
などの要望にお応えして、「しみ抜きのみ」の依頼も承っております。
500円~(税別)でお預かりいたします。
「アイロンかけのみ」というご依頼も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
生洗いについて
生洗いは、丸洗いとは異なり、しみ抜きに使用するシルクガンで汚れを吸い取りながら行う洗いとなります。
昔はベンジン(揮発性溶剤)などでブラシを使用して汚れを取っていましたが、ガンで溶剤を吹き付けて汚れを浮かしながら作業をします。
顔料染で洗うことが出来ない着物や帯、金箔や樹脂を使用していて樹脂が劣化している着物や帯、特殊な染料を使用していて色が出やすい着物などが対象です。
当店では、生洗いを全体のしみ抜きとして取扱っております。
汗のしみについて
汗のシミは干しても汗の中にある成分が残ります。
夏は塩分が多く、冬は皮脂が多いですね。さらにタンパク質や尿素、アンモニアなど様々な化学物質が溶け込んでいますので、
放っておくと黄色く変色します。
丸洗いでもある程度取れますが、水を使用して取り除くのが得策です。
水洗いは洗い張りなのですが、部分的にでしたらシルクガンで汗を取り除いてから丸洗いをすることで安心してしまうことが出来ますよ。
夏に着用したらおすすめの「汗抜き」をご指定下さいませ。
部分的な汗抜きのお値段は、汚れや黄ばみの程度によって異なります。
襦袢の汗抜き洗い
特に汗をかいた長襦袢は、水洗いをしたいですよね。
当店では、ウールも絹も安心して洗えるウエットクリーニングを取り扱っておりますので、夏洗いとしておすすめしております。
汗をかいてしまった長襦袢は汗抜き洗いをご指定ください。
夏着物の紗着物、呂着物も単色であればウエットクリーニングが可能かもしれませんので、ご相談くださいね。
浴衣洗いも色が落ちない浴衣洗い専用洗剤での水洗いをしておりますので、夏祭りが終わったら夏洗いに出しましょう。
季節の変り目は、しまい洗いをおすすめいたします。
お客様のお越しをお待ちしております!