ファスナー修理のご紹介 MA-1特殊ファスナーなど
2021年11月23日
フライトジャケットを着たバイカーを目にする季節となりました。
昼は暖かいとは言え、まだまだ朝晩は寒い日が続きます。
フライトジャケットば防寒着としては最高のアイテムですね。
今回は、フライトジャケットでは一番多いMA-1のファスナー修理をご紹介いたします。
袖のヴィンテージファスナーが動かなくなっていまい、修理のご依頼をいただきました。
Before
袖ポケットのスライダーが動かないケース
CONMAR(コンマー)のスライダーですが、違和感のないヴィンテージタイプのWALDESのスライダーに交換し、動くようになりました。
〇オープンファスナーのスライダーも交換修理いたします。
この下の画像のMA-1は、ヴィンテージのインジェクションファスナーを使用しています。
インジェクションは特殊なファスナーのため、ニッケル色の当時物のファスナーを最安8000円(税別・送料別)で購入してファスナー全交換するしかありません。インジェクションに使用されているスプリングスライダーの当時物は、単体では仕入れられません。
近年のファスナーの規格は、ヴィンテージ物とはサイズが違うために削るなどの加工しなくてはインジェクションのエレメントに差し込むことが出来ません。ただ、ファスナーの精度は高く、精密なので同じ大きさのスライダーにするのは不可能です。
そのため、ファスナー全交換をおすすめいたします。(通常の金属ファスナーはヴィンテージでも交換出来る可能性が高いです。)
WALDESの復刻版のインジェクションファスナーは、ZINZipperとなります。ただ、テープと金属の色が黒色のみになってしまいます。
そのため、ビンテージスライダーはWALDESブランドのVINTAGEZipperの金属ファスナーへの交換となります。(スライダーや、下止め、上止めのデザイン変更は可能です。)下記をクリックするとWALDESページが見れます。
MA-1のCROWN,CONMAR,TALON,などのUSAインジェクションファスナーのスプリングスライダーが破損した事例
ファスナーの種類もたくさんありますので、こだわっている方には、復刻版の購入や、当時物の購入、金属ファスナーなどの意味をご理解いただけるのですが、
ヴィンテージファスナーは用語が特殊ですので、お電話をいただいてもファスナーのご説明するのはとても難しいことなんです。
〇最近は止水ファスナーの交換依頼も多くなっています。
止水ファスナーは、樹脂ファスナーのテープにポリウレタン樹脂のテープを貼り付けているファスナーです。
テープと樹脂テープを接着している接着剤が劣化して剥がれたり、コイルの縫いつけ糸が破損する事例が多く、当店では交換依頼も多くなっています。
止水ファスナーの画像
ファスナーの種類
ファスナー修理(スライダー交換)においての基礎知識です。
オープンファスナーにも、「OP」下が箱になっているタイプ、「逆開OP」スライダーが2個ついているタイプがあります。
どちらのオープンファスナーも、下の蝶棒と言われる部分が傷んでしまうとファスナー本体の交換となってしまいます。
(画像のようにだんだんとテープがほつれてしまったり、蝶棒が外れてしまったり、エレメントが抜けてしまいます。)
オープンファスナーのテープ下のほつれ補強
差込金具の下部分テープを樹脂接着補強するにはギリギリのケースです。
これ以上テープが破損すると、ファスナー全交換するしかありません。
〇止め金具について
止め具にも、樹脂と金属があり、例えば「樹脂の上止め」(止め具がプラスチック(樹脂)の物)と、金属の上止めがあります。
当店では、コイルファスナーやビスロンファスナーの樹脂止めのスライダー交換をすると樹脂ファスナーでも、金属の「上止め」になりますので樹脂ファスナーの場合は、新品とは見た目が違ってしまいまいます。
(例えば、ファスナー全交換の場合は、ビスロンファスナーをYKKへメーカー注文すると、樹脂上止めの取り付けが可能ですが、台湾で作っているため3週間ほど時間がかかり、スライダー交換の対応は出来ません。)
ファスナーが金属であれば、上止めは金属でも問題ないのですが、樹脂の上止めにこだわる方もいらっしゃるので、スライダー交換の場合は、上止めが金属になることを確認させていただいております。
〇スライダーの種類について
スライダーの形は、全て違うのではないか?と思うくらい、たくさんの形や種類がありますね。
当店では、形も色も近い物になるように在庫をしておりますが、合わない場合は標準品で目立たないように直すことも多くございます。
アンティークなWALDESも、通常のスライダーも、「動く」という機能が回復すれば使えるため「それで良い」という場合もありますが、一方でスライダーもファッションアイテムの一つです。
当店では、なるべくなら近い形のスライダーで対応して喜んでいただきたいという気持ちも強くあります。
そのため、ファスナーにこだわり続けている「たくさんのスライダー在庫を持つ」ファスナーを生業とするファスナー職人として20年近くの経験を生かした提案をさせていただきます。
〇まとめ
スライダー交換は安く直りますが、経験と知識が必要です。
摩耗や劣化で必ず壊れてしまうファスナーですから、ファスナーさえ直れば使えるというケースも多いのではないでしょうか。
「気に入ったアイテムを少しでも長く使っていただきたい。」
そんな気持ちを持ったクリーニング店やリフォーム店がRepair929というサイトを作成し、お客様にファスナー修理をご紹介させていただいております。
よろしくお願いいたします。
マルエイクリーニング
前田俊雄